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人と自然とロボットをつなぐ未来を創造する

「鉄腕アトムをつくる」

 子供のころに、TVでみたアトムの胸にICチップを埋め込むシーンは、目に焼き付いている。
そのICの中には、膨大なプログラムが血液のように隙間なく流れ、淀みなく流れていよう。
しかしながら、未だこのようなロボットには、至らない。ロボット技術者の多くは、アトムに何らかの感化を受けてこの道に入り込んでいるようだが、夢物語に終わっている。何故だろう・・・。

なぜ、このアトムへ技術が一気にジャンプできずにいるのであろうか。
各要素技術は、進むものの、その各要素とそれぞれの多様化するニーズや予算に対する考え等、大きく物事をとらえたビジョンや機動力に欠けているのではなかろうか。国の政治が空回りして、瑣末なものばかりにとらわれてしまっている日本人の習性が邪魔しているように、「よっしゃー・よっしゃー」と強引にでも目的に向かわせる人がいなくなってしまっているのではないだろうか。技術の世界の内側も同様に横の関係を調整する大変さからであろうか、アトムをつくるという大きな目標をわすれ(もともとそのような旗揚げはないかもしれないが)、アクチュエータ、音声合成、センサー等の個々の機能掘り下げに勤しみ、部品屋さんの集合体にとどまっていないか。部品屋さんは、「このようなことは、できるか」と聞かれれば答えるが、自ら「ロケットをつくる」等の目標設定をすることはめずらしい。「提案型にならねば」とよく言われるが、一時のその方らへのカンフル剤にすぎないのではなかろうか。しかしながら十分それで、インターネット、グローバル化のお陰もあり各国からの注文が入り、儲かる仕組みになっているわけだからわざわざ、となりのことまで口をはさむお人よし技術者は、いなくなってしまうのだ。価値観の多様化の中、それらをつきぬける勢いは、なくなってしまったかの様子である。

だからこそ大事なのは、真のアトムプロジェクトを起こすことであろう。
その時には倫理的側面や哲学、文化、科学等あらゆる面で一から議論し、概念形式しなければいけない。その様々な我儘な技術者を束ねあげる、物を作り上げる能力をもったマネージメントがいかに少ないかである。
いるのであるが、我儘な技術者が、横行し、マニアックな瑣末な技術論に終始する勘所をとらえられるマネージメントがなりを潜めてしまったと言いたくなるほど世の中は、悪い方向へ変化してしまったのだ。
欧米の標準化と機密保持、セキュリティ、特許等に振り回され、日本のマネージメントは、そちらのお相手に時間を費やされて大切な目標への推進力の役を果たさずに、そのまま安住してしまう人がいかに多いことか。
そして戦後の教育で洗脳されてしまった、記憶力と教科書通りの理屈を発せる人たちが、政治やマネジメントのトップに立って、クリエータたちは静かに黙ってしまう。
だからこそ今、異端児が、「アトムを作る」という国家プロジェクト級の面白いことをしかけることにチャレンジすべき時と感じてならない。


                                             ロボティスト 大渕 偉差勇
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